千葉県千葉市中央区税理士・公認会計士。コラム
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税務訴訟と課税の明確化     

 

 平成23年度の税制改正法には、所得税や法人税、相続税の抜本的な改革を行う改正や国税通則法の見直しは盛り込まれなかったが、租税特別措置の見直しと課税の適正化、納税者利便の向上に係る改正は当初の提出法案どおりに行われた。
 消費税の免税事業者要件の厳格化や95%ルールの見直しなどが、適正化の一環だが、こうした適正化のなかには、税務訴訟をきっかけとした「明確化」という観点からの改正もある。
 そのひとつが個人年金保険の所得課税をめぐって争われ、納税者が勝訴した最高裁の判決。年金で受け取る生命保険金のうち、年金受給権として相続税が課税された部分は所得税の対象とならないとする判決の“射程”が検討されたことによるものだ。
 その結果、土地や株式などの相続財産については、所得税法60条で被相続人の取得価格が相続人に引き継がれることが規定されていて、被相続人の取得価格を超える部分は、相続税と譲渡所得の両方の課税対象となるが、相続で定期預金や株式を取得した場合も同様の関係にあると指摘された。
 しかし、明文の規定がないため、これらについても、年金保険のような争いが起こることが考えられたことから、被相続人に生じている未実現の利子や配当等は、実現した段階で相続人に課税されるという現行の取扱いを明文化する改正が行われることになった(所法67条の4)。
 もうひとつは、保険金の一時所得の計算上控除できる保険料の範囲の明確化だ。養老保険を利用して法人から役員に資金を移転する租税回避があったことから、満期保険金の計算上、控除できる事業主負担の保険料は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限るとする規定が置かれる(所令183・184改正)。
 所得税法34条(一時所得)の規定からは、保険金を受け取った役員が負担した保険料しか控除できないのかが明確でなく、施行令では保険料の総額を控除できるとされていたため、訴訟となった事案ではわずかな所得税の負担で保険金を受領できた。今後、こうした租税回避的スキームは成り立たなくなる。

           

 
                                 税務通信平成23年7月11日号より










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