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工事契約会計基準(案)と税務の動向                     

 

 企業会計基準委員会(ASBJ)は8月30日、『工事契約に関する会計基準(案)』を公表した。これは、施工者側における工事収益及び工事原価の会計処理方法を定めたもの。工事の進行具合に応じて工事収益及び工事原価を見積計上する「工事進行基準」(以下、進行基準)と、工事を完成し顧客に引き渡した時点で計上する「工事完成基準」(以下、完成基準)の二つがある。
 現行の企業会計では、完成基準を原則としつつも、通常、工事期間1年超の長期請負工事については完成基準と進行基準の選択適用が認められ、1年未満のものについては完成基準を適用することと解されている(会計基準案50、51)。しかし、会計基準の国際的な統合の動きを受け、公開草案では、進行基準の適用要件を明確化し、適用要件を満たしたものには進行基準、満たしていないものには完成基準を適用することとしている。現行の選択適用を廃止するということだ。
 この見直しが実現した場合、進行基準の適用要件は、工事契約の際に、@工事収益総額、A工事原価総額、B決算日における工事進捗度、の3点を確実に見積もることができることとされ(会計基準案7)、この要件を満たしたものであれば、工事請負対価の多寡等に関らず、進行基準が強制適用される。また、いったん進行基準を適用した後、工事損失(赤字)が見込まれることになったとしても、進行基準の適用は原則継続される(会計基準案66)。 
 一方、現行の税法では、工事損失が見込まれるか否かに関わらず請負対価50億円以上等の長期大規模工事には進行基準を強制適用、それ以外の工事には進行基準(工事損失が見込まれる場合等は使用不可)と完成基準の選択適用とされている。(法法64、法令129)。
 このことから今後、例えば、請負対価が50億円未満等の中小規模工事に工事損失が見込まれる場合、会計上は進行基準が適用されることがある一方で、税法上は完成基準のみが適用されるため、申告調整等の問題などが生じることとなる。
 これらの問題に対応すべく、建設業界などを中心に、工事会計基準の見直しにあわせた税制改正要望が行われており、関係省庁でも現在、税制改正の方向性について検討が行われている。具体的には、会計上の進行基準の適用要件を税法でも受け入れるか、税法上の長期大規模工事の50億円以上基準を引き下げるか、工事損失が見込まれるならば完成基準を適用するとしている規定を見直すかなど、様々な点で議論されている模様だ。ただし、長期大規模工事の50億円以上基準を引き下げることなどは、中小企業にも多大な影響を与えるため、慎重な検討が必要との見方もある。
 また、本会計基準(案)は、平成21年4月1日以後開始事業年度に着手する工事契約から強制適用するとされているため、平成20年度税制改正で対応するかは未定のようだ。
 なお、本会計基準(案)が実現した場合、3月決算法人であれば、今決算と来決算には影響がないが、平成22年3月決算からは強制的適用される点にも留意されたい。
     

            


                                 税務通信平成19年10月29日号より










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