取得条項付新株予約権を用いた買収防衛策が話題になっている。
取得条項付新株予約権は、発行法人が一定の取得事由が発生したことを条件に、発行した新株予約権を取得することができることを定めた新株予約権。
これは昨年5月に施行された会社法により発行できるようになったもので、新株予約権の内容について規定している会社法第236条の1項7号では、発行会社が一定の事由が生じたことを条件として、取得することができるときに定めておく内容が、多岐にわたって列挙されている。
取得条項付新株予約権は、株式への転換権が発行法人側にあるが、その経済的性質は、転換権者の違いを除いて新株予約権等と同様であると考えられている。
法人税法でも、第61条の2第14項5号で取得条項付新株予約権の取扱いを規定しているが、新株予約権者に法人の株式のみが交付される場合は、いわゆる簿価譲渡として課税を繰り延べるとともに、みなし配当課税の適用を除外するとしている。この取得事由の発生による取得の場面の税務上の取扱いが、新株予約権の行使の場面と同様となっているのはその考えによるものだ。
話題になっている防衛策においては、新株予約権の取得の事由及び取得の条件が、買収者と一般株主とで区分して規定されており、一般株主が有する新株予約権には取得の対価として、普通株式のみが交付されることとされている。よって、一般株主には株式のみが交付されることから前述の法人税法第61条の2の規定に従い、課税を繰り延べるとともに、みなし配当課税も適用されないため、課税上の問題が生じないこととなる。
税務通信平成19年8月6日号より
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