最近、各自治体のHP等では企業版ふるさと納税を申し出た企業の紹介等が掲載されている。企業にとっては、ふるさと納税が社会貢献に積極的なイメージを印象付ける1つの手段となっているようだ。
本制度は、自治体等が企画立案した地方創生プロジェクトに対して企業が寄附をした場合、従来の損金算入措置による約3割の税負担軽減に加えて、さらに3割(法人住民税と法人税から寄附額の2割、法人事業税から寄附額の1割)の税額控除を受けられるというもの(措法42の12の2、地法附則8の2の2等)。税額控除を受ける際は、確定申告書に一定の書類を添付する。
とりわけ、複数の地域に事務所等を有する法人が、そのうちのいくつかの地域に対して寄附をする場合には、確定申告書の添付書類を事務所等のある全ての自治体等へ提出しなければならないので注意が必要だ。
これは、法人事業税や法人住民税に“分割基準”があるためだ。分割基準とは、複数の地域に事務所等を有する法人において、課税標準の総額を一定の割合で分割して各地域の分割課税標準額・税額を算定することをいう。つまり、企業版ふるさと納税による税額控除を受けると、寄附先だけでなく、事務所等があるすべての地域の法人事業税と法人住民税が減少することになる。
よって、例えば、4県に事務所等を有する分割法人がそのうち2県に対して寄附をした場合、法人事業税及び法人住民税にかかる必要書類は2県にではなく、4県全てに提出しなければならない。
添付書類は、法人税が「寄附金の損金算入に関する明細書(別表14)」、法人事業税等が「特定寄附金を支出した場合の税額控除の計算に関する明細書(第7号の3様式)」、法人住民税が「特定寄附金を支出した場合の税額控除の計算に関する明細書(第20号の5様式)」となる。
税務通信平成29年1月9日号より
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