平成19年度税制改正で、税法上は、所有権移転外ファイナンス・リース取引は全て売買処理とされたため、新たに、法人税申告書別表16(4)『リース期間定額法による償却額の計算に関する明細書』(以下、明細書)が設けられているが、ここで留意したいのは、会社計算上、借手が賃借料として処理したリース料について明細書の添付は必要ないという点だ。
というのも、平成20年4月1日に施行される『減価償却に関する明細書の添付』(法令63@)の規定では、償却費として損金経理した金額がある場合には明細書の添付を要するとしているものの、その規定のカッコ書きで「賃借人が賃借料として損金経理をした額」については添付を不要としているからだ。
企業会計上、所有権移転外ファイナンス・リース取引については売買処理が原則とされつつも、少額・短期のリース取引や、会計基準が強制適用されない中小企業等のリース取引には賃借取引が認められるとされている一方、税法上は全て売買処理とされており(法法64の2)、また、賃借料として損金経理されたリース料についても償却費として取り扱われるため(法令131の2B)、実務家の中には、売買・賃借いずれの方法で処理したとしても、借手は申告時に明細書の添付を要するのではないかと見る向きもあるようだ。
しかし、会社計算上、借手が所有権移転外ファイナンス・リース取引を資産計上し減価償却する場合は明細書の添付を要することとなるが、前述のとおり、賃借処理した場合は不要となる。また、賃借料として損金経理した額(=リース料)とリース期間定額法で計算した償却費が一致すれば、別表4などにおける申告調整も生じないこととなる。
税務通信平成19年10月1日号より
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