令和2年10月1日以後、「居住用賃貸建物」の取得費には原則、消費税の仕入税額控除が適用できない。自社で取得した “ 社宅 ” については、従業員から血医療を受け取るか否かによって、居住用賃貸建物に該当するか否かが異なる。
居住用賃貸建物とは、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物」のこと(消法30I)。自社で取得した社宅も従業員が居住する住宅であり、従業員から受け取る賃料は通常賃貸アパート等の賃料と同様に非課税となる。このため、賃料を受け取る場合の社宅は、住宅の貸付けの用に供するものとして居住用賃貸建物に該当し、その取得費に仕入税額控除は適用できない。金額の多寡に関わらず、資料を受け取る以上は基本的に居住用賃貸建物に該当するようだ。
一方、社宅の取得時点で賃料を受け取らず無償で提供することが「客観的に明らかな場合」においては、非課税となる “ 住宅の貸付け ” に当たらず居住用賃貸建物に該当しないため、その社宅の取得時に仕入税額控除を適用できる。賃料を受け取らないことを客観的に明らかにしておくために、社宅の取得時までに、規約などで無償であることを明記しておくべきだろう。この場合、社宅の取得時に係る仕入税額控除の個別対応方式の用途区分は原則、「共通対応」(課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの)となる。
なお、居住用賃貸建物に該当するか否かに関わらず、社宅の修繕費や備品購入費等は仕入税額控除の対象となる。この場合、個別対応方式の用途区分は、従業員から賃料を受け取る場合は「非課税売上対応」(その他の資産の譲渡等にのみ要するもの)に、無償で提供する際は原則、「共通対応」に該当する(国税庁質疑応答事例「社宅に係る仕入税額控除」)。
税務通信令和3年2月22日号より
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