親から資金の援助を受けて住宅を取得等する場合、要件を満たせば、住宅取得等資金の贈与税の非課税特例の適用を受けられる(措法70の2等)。所得税の住宅ローン控除(措法41)を供用する場合には一定の調整が求められるため留意が必要だ。
両制度の併用に関し、国税庁では、平成30年に会計検査院から申告誤りが多いとの指摘を受けて「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ(平成30年12月)」を公表している(3536等)。両制度を併用する場合には、住宅ローン控除額の計算の基礎となる「住宅の取得価額等」から、住宅取得等資金贈与特例の適用を受けた受贈額を差引く必要があるにもかかわらず、それを差引かずに計算する誤りが多かったという。
例えば、5,000万円の住宅を取得等し、住宅ローンの年末残高が4,500万円、親からの贈与が1,000万円で住宅取得等資金贈与特例の適用を受ける場合、住宅ローン控除額の計算の基礎となる金額は、年末残高4,500万円ではなく、4,000万円(=5,000万円ー1,000万円)となる。
住宅取得等資金贈与特例については、受贈者の贈与年の合計所得金額が2,000安円以下であるという所得要件の確認もれにも注意が必要だ。
このほか、住宅取得等資金贈与特例において、新型コロナの影響で工期が遅れるなど「災害に基因するやむを得ない事情」があると認められる場合には、取得・居住期限要件がそれぞれ1年延長される場合もある(措法70の2IJ)。また、非課税限度額を超える贈与を受けた場合には、その超えた部分の金額については、贈与者ごとに暦年贈与か相続時精算課税かを選択できる(措法70の3等)。
税務通信令和3年3月8日号より
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