新型コロナウイルス感染拡大防止に伴いテレワークが普及した。静かな環境でオンライン会議等を行うため、個室を短時間で借りられるレンタルオフィス等の需要が高まっているようだ。マンションの1室をレンタルオフィス等として時間貸しして得た所得は、原則、雑所得に区分されるという。
所得税法上、「不動産の貸付けによる所得」は、通常、不動産所得に区分されるところ(所法26)、一定の役務提供等が行われているものは、雑所得又は事業所得に区分される(所基通26-4)。
例えば、民泊は、部屋の使用料のほか、清掃代や寝具などの賃貸料、水道光熱費等の役務提供の対価が宿泊者から受領する対価に含まれている点などから、一般的な不動産の貸付けには当たらず、民泊による所得は雑所得に該当することが示されている(国税庁「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報
)」)。
時間貸しのレンタルオフィスの場合、貸主が、机や椅子、Wi-Fiルーターや液晶モニター等を設置、利用者の退出後に清掃等し、これら設備の使用料や清掃代を利用者から対価に含めて受領することが通常であろうから、民泊のケースと同様に考える。不動産の貸付け時間の長短は所得区分の別に影響しないとのことだ。
一方、時間貸しの営利性や有償性、反復継続性等の要素を総合勘定して、所得税法上の事業と認められる場合は、雑所得ではなく事業所得に該当する。貸主が元から不動産賃貸業を営んでおり、その1室を一時的にレンタルオフィスに転用して得た所得は、不動産所得に含めてよいとのことだ。
税務通信令和3年3月15日号より
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