新型コロナの影響で令和2年分の確定申告期限等が一律延長された。申告所得税及び復興特別所得税について振替納税と延納を組み合わせる場合、納付すべき税額は令和3年5月31日に全額一括で引き落とされる。
事前手続を済ますことで利用できる振替納税は、口座引き落としにより振替日に自動的に納付することができ、延納との併用も可能だ。所得税の延納は、申告所得税第一表内の「申告期限までに納付する金額」欄等に法定納期限までに納付すべき税額の2分の1以上を記入して納めることで、残額の納付を延納期限(5月31日)まで延長できる(所法131)。延納した税額分には利子税(令和3年は1.0%)がかかる。
通常、振替日は法定納期限の後に設けられるものの、“ 口座振替による納付は納期限に納付されたものとみなして、延納に関する規定を適用する ” とされている(通法34の2A)。そのため、振替納税と延納を併用して納付する場合は、振替日に2分の1以上を、延納期限に残額を納付することとなる。
だが、令和2年分は一律延長の影響で、振替日が延納期限と同一日(令和3年5月31日)となった。通則法の規定上、期限内納付とみなされるものの、振替日に延納の適用時に納めるべき、“ 2分の1以上 ” ではなく “ 全額 ” を一括納付することになるため、結果的に延納の適用が受けられなくなる。この場合、利子税はかからないが、残高不足で引落が出来なければ、令和3年4月16日から完納日まで延滞税が生じる点に留意したい。
もし、手元資金の関係で、振替日に全額納付できるかわからず、先に半分以上だけでも納付しておきたい場合には、コンビニ納付など振替納税以外の方法で納付手続を行う必要がある。延納する際の手順に従い、申告書内の必要欄に納付額を記入し、納期限(令和3年4月15日)までの任意の日に記入額を納付することで、残額が令和3年5月31日に引き落とされることとなる。振替納税の取りやめ依頼等は不要とのことだ。
税務通信令和3年4月5日号より
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