自治体等から支給される助成金等の中には、その助成金等を受領して行う取引に係る “ 消費税の仕入控除税額 ” の返還が必要なものがある。法人が、こうしたタイプの助成金等を受領した場合、一旦、助成金等の全額を雑収入として収益計上し、翌事業年度で、返還した仕入控除額を雑損失として処理することになる。
消費税法上、助成金等の受領は「不課税」取引だが、その助成金等を受領して行う固定資産等の購入は「課税」取引となり、仕入税額控除の対象だ(消法2@八、4@)。助成金等の中には、課税仕入れに係る消費税相当額を含めて支給されるものもあり、こうしたタイプの助成金等を受領した事業者は、助成金等に係る課税売上がないにもかかわらず、仕入税額控除が可能となってしまう。そのため、自治体等では、消費税の確定申告後に、その仕入控除税額の返還を求めている。
返還する仕入控除税額の法人の税務処理について、@仕入控除税額が確定するのが消費税の確定申告時であること、A法人税の取扱いで、前記の取引に係る損失が当期に生じた場合、前期に遡っての修正は不要とされていることから(法基通2-2-16)、助成金等を受領した事業年度での特段の処理は不要となる。
例えば、X期に受領した助成金110全額を課税取引で活用し、支払消費税10が生じた場合、X期に助成金110の全額を雑収入として収益計上する。X+1期に消費税の確定申告を行い、助成金に係る仕入控除税額が10であれば、その10を自治体等への返還後に雑損失として処理する流れとなる。
なお、仕入控除税額の返還が必要な助成金等に該当するか否かは、その助成金等の交付要覧等で確認することが必要だ。返還時の手続について、例えば、医療法人向けの緊急包括支援交付金(医療分)の場合、返還する仕入控除税額等を記入した報告書の提出を求める自治体もある。
税務通信令和3年4月12日号より
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