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産業医と源泉徴収の有無

 

     

 新型コロナ対策でワクチン接種の担い手として注目される産業医。企業は従業者数等に応じて嘱託又は専属での選任を検討するところ、外部の医療機関に委託する場合と雇用契約等の場合とでは源泉徴収の扱いが異なる。
 産業医とは、事業場において労働者の健康管理等の助言や指導を行う医師のこと。常時使用する従業員数が50〜999人であれば嘱託又は専属の産業医を、1,000人以上又は一定の有害な業務に従事する事業場であれば専属の産業医が必要となる(労働安全衛生法13等)。
 嘱託産業医として月に数回程度の頻度で職場を訪問するなどの業務内容に基づき、企業が外部の医療機関と委託契約を結んでいる場合であれば、企業は産業医に直接報酬を支払うわけではないため源泉徴収の必要はない。一方、個人のクリニックなど、開業医と契約を結ぶ場合であれば、個人との契約になることから、産業医への報酬は原則として給与収入に該当し、源泉徴収を行う必要がある(所法28、183)。
 また、税務上の取扱いとして、給与収入に当たるかどうかは、契約形態ではなく実態に基づき判断することとなる。例えば、個人の開業医との契約が委託契約という形態になっていたとしても、企業が職場訪問の頻度や拘束時間などを指定することで、産業医側に裁量等がないケースもあろう。委託契約としての実態を確認することが難しい場合には、雇用契約に基づく報酬とみなされて、企業側に源泉徴収の必要性が生じる可能性もある。
     

 
 


               税務通信令和3年8月30日号より










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