令和5年10月1日から導入されるインボイス制度における適格請求書(インボイス)の様式は、法令等で定められていない。一定の事項が記載された書類(請求書・納品書・領収書・レシート等)であれば名称を問わずインボイスとして認められる(新消法57の4@、インボイス通達3-1)。また、一の書類ですべての記載事項を満たす必要はなく、複数の書類を合わせて一のインボイスとすることもできる。
このように、一口で“インボイス”と言っても書類の名称や書類の組み合わせパターンが様々であるため、これまで以上に取引との相互関係を明確にしながら書類の管理や保存が求められることになりそうだ(3669)。
ところで、仕入側がインボイスの紛失に伴い再発行を求めた場合に、売手側は一度交付したインボイスについて再交付することは認められるのか疑問を抱く向きがあるが、制度上、インボイスの再交付は可能だ。令和5年10月1日に施行される新消費税法においてインボイスの再交付を制限する規定は特段設けられていない。
現行でも請求書等の再発行が求められた場合には顧客サービスとして再交付するケースが多いが、こうした実務対応はインボイス制度下においても変わらないことになろう。
ただし、同一の課税仕入れについて二枚のインボイスが交付されると、再交付後に以前のインボイスが見つかった際に仕入側が誤って二重に仕入税額控除を行ってしまうことも懸念される。インボイスを再交付する際は請求書等に「再発行」などの印を付記することで混乱は避けられるだろう。
税務通信令和3年9月20日号より
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