令和6年度改正により実施される所得税の定額減税では、従業員等に同一生計配偶者がいれば1人当たり3万円を加算して所得税から控除する(措法41の3の3等)。定額減税の事務に当たっては、同一生計配偶者を正しく把握することが求められよう。
同一生計配偶者とは、その年の12月31日の現況において納税者と生計を一にする配偶者のうち、合計所得金額が48万円以下の者をいう(所法2@三十三)。平成29年度改正における配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しに伴い、それまでの控除対象配偶者(生計を一にする配偶者のうち、合計所得金額が38万円以下の者)が同一生計配偶者の名称に変更された。また、その要件も平成30年度改正により、令和2年分から合計所得金額が48万円以下に引き上げられた(平成30年改正法附則2)
平成29年度改正では、同一生計配偶者のうち「納税者の合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者」を控除対象配偶者として、配偶者控除を受けることができるとした(所法2@三十三の二、83@)。一方、合計所得金額が900万円以下の居住者と生計を一にする配偶者のうち、合計所得金額が95万円以下の者は源泉控除対象配偶者とされた(同法2@三十三の四)。その配偶者の合計所得金額が48万円超で、同一生計配偶者とならない場合には、配偶者特別控除の対象となった(同法83の2@)。
定額減税では、源泉控除対象配偶者のうち定額減税の対象となる同一生計配偶者は、扶養控除等申告書で把握できる(No.3793)。ただし、同申告書には「配偶者特別控除の対象となる源泉控除対象配偶者だが、同一生計配偶者ではない」者も記載されるため、同一生計配偶者・控除対象配偶者・源泉控除対象配偶者の定義等を明確にして対応する必要がある。月次減税事務において、同一生計配偶者の確認ミスの防止に努めたい。
税務通信令和6年4月15日号より
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