国税の納付方法には、税務署等の窓口における現金納付のほかに、オフィス等から納付できるキャッシュレス納付がある。キャッシュレス納付は、振替納税やダイレクト納付などの方法が年々拡大しており、利便性が向上している。
振替納税は、納税者自身の預貯金口座から、国税庁の定める振替日に口座引落により納付する方法。対象となる税目は個人事業者の所得税と消費税で、所轄税務署長又は希望する金融機関に、口座振替依頼書を書面又はe-Taxで提出すれば、所轄税務署を変更しない限り次回以降も自動的に振替納税となる。
一方、ダイレクト納付は、同納付に対応する金融機関の預貯金口座から、即時又は指定した期日に引き落されることで納付する。対象は全税目で、ダイレクト納付利用届出書を書面又はe-Taxで所轄税務署長に提出すれば利用可能となる。
いずれの方法でも、納税者自身の預貯金口座から引き落とされるため、残高不足等で納付できない場合は延滞税の対象となる。その際、ダイレクト納付では納税者及び代理送信した税理士のe-Tax内に即座に納付失敗の通知が格納されるが、振替納税では納税者及び税理士に同通知が届かず、知らぬ間に延滞税が発生する可能性もあるため、通帳等で確認するなどの注意が必要だ。
なお、ダイレクト納付では、本年4月からの新機能として「自動ダイレクト」が利用可能となった。これは、e-Taxの申告等データの送信画面で必要事項にチェックを入れると、申告等データの送信とともにダイレクト納付の手続きが行える機能だ。ただし、法定納期限当日に自動ダイレクトの手続きをした場合、令和6年4月1日から2年間は1,000万円以下、令和8年4月1日から2年間は3,000万円以下、令和10年4月1日以降は1億円以下と納税額に上限が設けられている(令和5年改正通規附則A)。
税務通信令和6年5月13日号より
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