千葉県千葉市中央区税理士・公認会計士。コラム
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複数書類を組み合わせた区分記載請求書

 

     

 インボイス制度における「インボイス」とは、一定の事項が記載された請求書、納品書等の書類をいい、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はない。交付された複数の書類相互の関連が明確であれば、その複数の書類の全体でインボイスの記載事項を満たす(消法57の4@、消基通1−8−1)。
 現在、インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについて、経過措置を適用し、仕入税額相当額の80%を仕入税額とみなして控除を受けるためには区分記載請求書の保存が必要となるが(平成28年改正法附則52)、区分記載請求書も同様に、一の書類のみですべての記載事項を満たす必要はなく、複数の書類を組み合わせて記載事項を満たすことができるという。
 複数の書類を組み合わせた区分記載請求書対応について、これまで疑義が生じることはほぼなかった。インボイス制度開始前は、支払対価の額が3万円以上であっても「請求書等をもらえなかったことについてやむを得ない理由」がある場合には、帳簿に必要事項に加えてそのやむを得ない理由及び相手方の住所を記載すれば仕入税額控除が認められていたためだ(旧消法30F、旧消令49@二)。
 インボイス制度開始に伴い旧消費税法30条7項の規定は削除され、インボイス発行事業者以外の者から課税仕入れを行った場合、原則は仕入税額控除の対象外。経過措置の適用を受けるためには、区分記載請求書の保存が求められる。
 実務では、売手がインボイス発行事業者以外の者である場合、売手側には請求書等を交付する義務がないため、買手側で区分記載請求書の要件を満たす書類を揃えるなどの対応が必要となるケースもあるだろう。
 具体的な対応として、区分記載請求書としての不足事項を補完する文書を取り交わすほか、仕入明細書を作成して売手の確認を受けたうえで保存する方法などが考えられる。
   

 
 


税務通信令和6年6月17日号より










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