令和6年度改正では、賃上げ促進税制において中堅企業向けの措置が創設されたほか、大企業向けのマルチステークホルダー要件の一部が改正された(No.3797)。いずれも「常時使用する従業員」の数“2,000人”が改正内容の判断基準となる。
中堅企業向け賃上げ促進税制では、青色申告法人で常時使用する従業員数が2,000人以下等の特定法人であれば、継続雇用者給与等支給増加割合が4%以上の場合に税額控除率を25%(同給与等支給増加割合が3%以上の場合は10%)とすることができる(措法42の12の5A)。また、大企業向け賃上げ促進税制では、取引先等との適切な関係の構築等の方針を記載した「マルチステークホルダー方針」の公表に係る対象範囲が見直され、対象法人に常時使用する従業員数が2,000人を超える法人が追加された(同法42の12の5@)。
各税制の適用対象の判断基準となる「常時使用する従業員」とは、法令解釈通達において「常用であると日々雇い入れるものであるとを問わず、事務所又は事業所に常時就労している職員、工員等(役員を除く)の総数」により判定することとされ、法人が「繁忙期に数か月程度の期間その労務に従事する者を使用するとき」は、その従事する者を「常時使用する従業員の数」に含めるとしている(措通42の12の5−1)。
一方、中小企業基本法に定める「常時使用する従業員」とは、「予め解雇の予告を必要とする者」(労基法20@)であると解され、「日日雇い入れられる者」や「季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者」等を含めない一定の労働者とされる(労基法21)。「常時使用する従業員」の名称そのものは同じだが、賃上げ促進税制における定義とは異なる点に留意されたい。
税務通信令和6年7月8日号より
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