インボイス発行事業者の事業を相続人(インボイス登録を受けていない者)が承継し、インボイス発行事業者として事業を継続するためには、「適格請求書発行事業者の死亡届出書」に加え相続人に係る「登録申請書」を所轄税務署に提出する必要がある。インボイス発行事業者としての地位や登録番号は、相続人に引き継がれないためだ(消法57の3@A)。
消費税法上、「相続のあった日の翌日から、相続人の登録日の前日又は死亡した日の翌日から4か月を経過する日のいずれか早い日」までの期間を“みなし登録期間”とし、相続人をインボイス発行事業者とみなす措置が設けられている。この場合、被相続人の登録番号が相続人の登録番号とみなされるため、同期間中、相続人は被相続人の登録番号でインボイスを発行することが可能だ(消法57の3B)。
すなわち、相続により事業を承継した相続人がインボイス発行事業者として事業を継続する場合は、遅くとも相続開始から4か月以内に登録申請書の提出が必要である。
このみなし登録期間について、日本税理士会連合会は、令和7年度税制改正に関する建議書で「相続人の登録日の前日又は相続税の申告期限である10か月を経過する日のいずれか早い日まで延長すべきである」としている(No.3812)。相続から4か月以内に承継人が決定することは少なく、相続税の申告期限(10か月以内)を迎える頃に決定することが一般的であることなどが理由だ。
インボイス制度の開始から9か月が経過した。予期せぬ相続があった場合のインボイス対応について懸念する声も聞かれるところだが、相続人に係る登録申請書の提出失念にはくれぐれも注意したい。
税務通信令和6年8月19日号より
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