業界団体の懇親会やセミナー等では、各会員が参加費の支払と引換えに、主催者から立替金精算書を受け取ることがある。各会員が受領する立替金精算書については、その記載事項に法令上の決まりはなく、仕入税額控除の適用に必要な事項が記載されていれば問題ない。
ホテル等での懇親会等で、主催者が会場運営側にあらかじめ支払を済ませておいた場合は通常、会場運営側から交付されるインボイスには“主催者名”が記載される。“各会員名”は記載されないため、各会員は仕入税額控除の適用に当たり、原則、インボイスの写しと主催者の作成・交付する立替金精算書が必要となる(消基通11−6−2)。インボイスの写しが大量で交付困難な場合は、主催者がインボイスを保存し、各会員は主催者交付の立替金精算書の保存をもって、仕入税額控除を適用できる。
こうした立替金精算書には、「課税仕入れに係る支払対価の額」、「支払対価の額に係る適用税率」、「インボイスの登録番号」等が記載されるのが一般的だろう。ただ、その記載事項が多ければ、直ちに仕入税額控除が可能なものかどうかの判別に時間を要するため、その記載ぶりを明確にしたいという向きがあるようだ。
例えば、記載事項として、「課税仕入れに係る支払対価の額」、「支払対価の額に係る適用税率」は残しつつも、「インボイスの登録番号」に代わり、「本精算書をもって仕入税額控除を適用できます」等の一文を記載し、課税仕入れの相手方(会場運営側)がインボイス登録事業者であること(=仕入税額控除適用可能の旨)を示すのも方法の一つとされる(インボイスQ&A 問94)。
立替金精算書の記載事項をもって、その立替金が仕入税額控除可能であることを明らかにする必要があるため、追加する一文は相手に誤解させない記載にすることが肝要だ。
税務通信令和6年10月14日号より
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