インボイス制度が始まり今年10月で1年がたった。インボイス制度では原則、売手から受領したインボイスを保存することで仕入税額控除を適用できるが、クレジットカード会社から受領するカードの利用代金に係る利用明細書等は基本的にインボイスに該当しない。
クレジットカード会社がカード利用者に交付する利用明細書等は、カード利用者に対して課税資産の譲渡等を行った売手である事業者(カード加盟店)が作成・交付する書類ではない。また、カード加盟店の氏名又は名称及び登録番号が記載された書類にも該当しないため、消費税法に規定する「請求書等」に該当しない(消法30H)。
このため、クレジットカード会社が作成した利用明細書等のみを保存しても、そのカードの利用代金につき仕入税額控除の適用を受けることはできない。カード加盟店から受領した領収書等のインボイスを保存することで仕入税額控除を適用できる(国税庁質疑応答事例「クレジットカード会社からの請求明細書」)。
ただし、「少額特例」や「公共交通機関特例」、「出張旅費等特例」などインボイスが不要で一定事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができる特例の対象取引については、利用明細書等の記載に基づき仕入税額控除の処理を行ってよい(国税庁「インボイス制度開始後において特にご留意いただきたい事項」)。
なお、カードの年会費等は、クレジットカード会社とカード利用者との間の取引であるため、クレジットカード会社はカードの年会費等を対象としたインボイスを交付しているようだ。
税務通信令和6年10月21日号より
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