定額減税の実施に伴い、定額減税額がふるさと納税の控除上限額に影響しないか心配する声が聞かれる。本誌では、令和6年度分の個人住民税には影響せず、令和7年度分に影響するとお伝えしたが(No.3813)、10月21日に改訂された総務省の「個人住民税の定額減税に係るQ&A集(第3版)」で、7年度分においても影響しないことが明確化された(本号10頁)。
個人住民税における定額減税は、原則として令和6年度分の所得割額から減税額(本人:1万円、控除対象配偶者又は扶養親族:1人につき1万円の合計額)が控除されるところ、控除対象配偶者以外の同一生計配偶者(本人の合計所得金額が1,000万円超の同一生計配偶者)に係る減税額1万円は、令和7年度分の所得割額から控除される。
ふるさと納税は、寄附した年の翌年度の個人住民税から一定額の控除を受けることができ、特例控除額の控除上限額については、所得割額の2割となる。
定額減税の適用がある場合、ここでの所得割額の計算方法については、令和6年度分では「定額減税前の所得割額」とする特例(地法附則5の8BE)が設けられている。しかし、令和7年度分には同特例が設けられていない旨が従前の同Q&A集(第2版)に記載されていたことから、7年度分では“定額減税後の所得割額”とするのではないかとの見方があった。
ただ、同特例はあくまで確認規定にすぎず、同特例がなくても、控除上限額のベースとなる所得割額は地方税法上、定額減税適用前の金額となっているため、令和7年度分においても「定額減税前の所得割額」になるという。定額減税は、調整控除やふるさと納税を適用した後に適用される仕組みとなっているからだ(地法附則5の12@B)。
そのため、控除対象配偶者以外の同一生計配偶者がいる給与所得者が、令和6年中にふるさと納税の寄附を行う場合、令和7年度分のふるさと納税の控除上限額は「定額減税前の所得割額」をベースに算出することになり、定額減税がふるさと納税に影響を及ぼすことはない。
税務通信令和6年10月28日号より
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