年末調整の時期を迎えている。年末調整時に必要な「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(申告書)は、令和5年度改正により、令和7年1月1日以後に支払を受けるべき給与等に係る申告書に前年から異動がない場合、その旨を記載した“簡易な申告書”の提出を受けることができる(所法194A)。
簡易な申告書は、従業員本人の氏名や住所又は居所、個人番号を記載し、余白に「前年から異動なし」等を記載することで完了する(「簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)」3−1)。注意点として、簡易な申告書は、申告書に記載すべき“全事項”が前年分から異動していない場合の対応となるため、扶養親族が16歳となって控除対象扶養親族に該当したり、23歳となって特定扶養親族に該当しなくなったりする等の異動があった際は、“全事項”を記載した従前どおりの申告書を提出してもらう必要がある(同FAQ・2−2)。一方、控除対象扶養親族等の所得の見積額が変動したものの、その額が一定以下である等の場合は「異動なし」として簡易な申告書の提出を受けることが可能だ(同FAQ・2−3)。
そのため、簡易な申告書の提出を受けた給与支払者は、本当に従業員の扶養親族等に異動がないか等の確認が必要となるが、簡易な申告書を1つずつ確認するのは骨が折れよう。
申告誤りを防ぐ一案として、国税庁の公表しているリーフレット「扶養控除等申告書の提出について」を、簡易な申告書とともに提出してもらうことが考えられる。同リーフレットでは、控除対象扶養親族等に住所等や年齢等による異動があるか、控除対象扶養親族等の所得の見積額が48万円超となるか等について11項目にわたり確認できるチェックリストを設けている。簡易な申告書と一緒に提出を受けたリーフレットにチェックがあれば、申告書の誤りに気づくことができそうだ。
税務通信令和6年12月2日号より
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