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暗号資産取引と所得区分

 

    

 個人が暗号資産の売買や交換等により得た利益は原則、雑所得(その他雑所得)に区分される。一定の場合は事業所得に区分されることが暗号資産FAQで示されているが、最終的な判断は個々の事情に基づき総合勘案されるため、副業による暗号資産取引の利益については、事業所得に該当しないケースもある。
 令和4年10月の改正所得税基本通達で副業収入に係る事業所得と雑所得(業務に係る雑所得)の区分基準が示され(No.3724)、その内容は暗号資産FAQにも反映された。暗号資産取引による生じた損益は、邦貨または外貨との相対的な関係により認識される損益と認められるため、所得税法上は原則として雑所得(その他雑所得)に該当する。
 ただし、「その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円超」であると、「帳簿書類の保存がある場合」は原則として事業所得、「帳簿書類の保存がない場合」は原則として雑所得(業務に係る雑所得)に区分される(所基通35−2、暗号資産FAQ2−2)。
 ビットコインなどの暗号資産取引は値動き幅が大きく、売買等を繰り返せば、その年の収入金額が300万円超となることもあるようだ。帳簿書類が保存されていれば事業所得の該当性を満たし、給与所得等との損益通算も可能のように受け取れるが、所基通35−2は「業務に係る雑所得の例示」に過ぎず、事業所得と認められるには、社会通念上事業と称するに至る程度か否かを判断する必要がある。
 同通達の解説では、過去の判決を引用した上で、「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、反復継続して遂行する意思と社会的地位が客観的に認められる業務から生ずる所得」(最判昭和56年4月24日)としている。暗号資産取引に係る申告実務を行う場合は、慎重な判断が求められそうだ。
       

 
 


税務通信令和7年2月3日号より










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