繁忙期、残業により終電を逃し、タクシーを利用して会社から帰宅することもあるだろう。この際のタクシー代は、インボイス制度における「公共交通機関特例」や出張旅費や宿泊費等に係る「出張旅費等特例」の対象外だが、通勤手当として支給する一定のものであれば帳簿の保存のみで仕入税額控除ができる。
「公共交通機関特例」とは、1回の取引の税込価額が3万円未満の公共交通機関による旅客の運送について、買手はインボイスを保存することなく一定の事項が記載された帳簿を保存することで仕入税額控除ができるものをいう(消法57の4@、消令70の9A一)。同特例の対象となる公共交通機関にタクシーは含まれていないため、タクシー代について同特例の適用を受けることはできない。
「出張旅費等特例」とは、使用人等に支給する国内の出張旅費や宿泊費、日当等のうち、使用人等が勤務する場所を離れてその職務を遂行するために行う旅行に通常必要であると認められる部分の金額について、一定の事項が記載された帳簿のみを保存することで仕入税額控除ができるものをいう(消法30F、消令49@一ニ、消規15の4二、消基通11−6−4)。
“勤務する場所を離れてその職務を遂行するために行う旅行”とは、基本的に、普段本社に勤務している者は本社から、支社に勤務している者は支社から、業務のために別の土地へ行くことを指す。通常勤務している場所からタクシーで帰宅した場合は旅行といえず、一般的に「通勤」と整理されるため、同特例の適用を受けることができない。
一方で、通勤する者に対して支給する通勤手当のうち、通常必要であると認められる部分の金額については、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除ができる(消規15の4三)。つまり、通常勤務している場所から自宅までのタクシー代が、通常必要と認められる通勤手当に該当するのであれば、インボイスの保存は求められないということだ。
なお、タクシー代を通勤手当ではなく「交通費」として処理する場合、原則はインボイスを保存する必要がある。
税務通信令和7年3月31日号より
コラム一覧はこちらへ
|