新リース会計基準における「借手のリース期間」は、解約不能期間に延長・解約オプションの各期間を加えて決定する。延長・解約オプションの各期間を加えるか否かについて、借手は、各オプションの行使・非行使が“合理的に確実”かどうかを判定することが必要だ。
旧リース会計基準におけるリース期間は、借手と貸手ともに“合意された期間(契約で定められた期間)”とされていた。一方の新リース会計基準では、借手と貸手のリース期間が区別して定められており、このうち「借手のリース期間」は、解約不能期間に@借手が行使することが合理的に確実な延長オプションの期間とA借手が行使しないことが確実な解約オプションの期間の両方を加えて決定する(会計基準15項、31項)。“合理的に確実”とは、蓋然性が相当程度高いことを示しており、例えば、(1)延長・解約オプションの各期間に係る契約条件、(2)大幅な賃借設備の改良の有無、(3)リースの解約に関連して生じるコスト、(4)企業の事業内容に照らした原資産の重要性などといった経済的インセンティブを生じさせる原因を考慮して判定する。
適用指針の設例8−2では、契約期間1年の建物の店舗スペース(普通借家契約・リースを含む契約)について、借手が多額の設備投資をして重要な建物附属設備を設置し、おおむね5年で同設備の一部入替えのための除却と追加コストが発生することなどから、5年間は延長オプションの行使が“合理的に確実”よりも高いとし、リース期間を5年と決定した考え方が例示されている。
税務上も、会計上の「借手のリース期間」をリース期間定額法の「リース期間」として受け入れる形で調整される見込み(No.3851)。会計上の使用権資産の償却費について、会計上の「借手のリース期間」に基づきリース期間定額法で計算した償却限度額の範囲内で損金算入できる予定だ。
税務通信令和7年6月30日号より
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