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支配関係がない法人間の合併が適格合併に該当する場合の適格要件の1つに、事業関連性要件がある。合併前における合併法人の合併事業と被合併法人の被合併事業がそれぞれ実態を有し、相互に関連していることを求めたものだ。ここでいう事業の実態は見せかけではなく、実質で判断され、過去から合併直前まで継続して行われてきたものであれば、事業の実態を備えていると認められる。
組織再編税制の適格要件は法人の支配関係によって区分され、支配関係がない法人間の合併の場合は、金銭等不交付要件及び共同事業要件を満たす必要がある(法令4の3C)。共同事業要件の1つである事業関連性要件における事業とは、合併法人の場合は主要以外の事業を、被合併法人の場合は主要な事業をいい、それぞれの事業が相互に関連するものであることが求められる。
相互に関連するものとは、「××小売業と××小売業などと同種の事業が行われているもの」、「製薬業における製造と販売のように、その業態が異なっても薬という同一の製品の製造と販売を行うなど、それぞれの事業が関連するもの」などが該当すると考えられている。
ただ、例えば、合併法人の合併前の売上先が被合併法人のみであった場合には、一時的に被合併法人と取引を行って適格合併の事業関連性要件を充足するために「事業の実態」を作出したとして、非適格合併と判断されることを懸念する向きもあろう。
だが、合併の成否に関わらず、過去から合併前まで取引を継続してきたのであれば、合併法人の売上先が被合併法人のみである事実だけをもって、合併法人の事業の実態がないとされるものではないとしている(質疑応答事例「合併法人の売上先が被合併法人のみであった場合の事業関連性について」)。
税務通信令和7年8月25日号より
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