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設備投資に係る特例である国税の「中小企業経営強化税制」と、地方税の「固定資産税の特例」は、いずれも中小企業等経営強化法で規定する計画の認定が求められる。ただし、計画の認定手続きや、投資計画における投資利益率等の要件がそれぞれの特例により異なる。
経営強化税制は、認定を受けた計画に基づき対象設備を取得等して指定事業の用に供した場合に、特別償却又は税額控除ができる制度(措法42の12の4)。B類型(収益力強化設備)として機械装置を取得する場合は、公認会計士又は税理士の事前確認を受けた年平均の投資利益率が“7%以上”となる投資計画等を所轄の“経済産業局(経産局)”に提出し確認書を受領する。その後、経産局の確認書等を添付して事業分野別の“主務大臣”に“経営力向上計画”の申請、認定を受けなければならない。
固定資産税特例の適用には、税理士等の認定経営革新等支援機関から“先端設備等導入計画”と年平均の投資利益率が“5%以上”の投資計画の確認を受け、その後に“市区町村”に申請し認定を受ける必要がある。また、7年度税制改正により賃上げ方針の表明が必須となった。賃上げ方針が1.5%以上の場合は、取得設備の固定資産税の課税標準を3年間1/2、3%以上の場合は5年間1/4に軽減できる(地法附則15㊸)。
一の減価償却資産に対し、複数の特別償却等の特例を適用することはできないが(措法53)、固定資産税特例は地方税に係る特例であるため、経営強化税制と固定資産税特例のそれぞれの要件を満たせば、一の減価償却資産に両特例を適用することができるということだ。
なお、経営強化税制と固定資産税特例は、ともに計画の認定後の設備取得が原則だが、経営強化税制では、一定の場合に経営力向上計画の申請前の設備取得も認められている。
税務通信令和7年9月22日号より
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